実家を賃貸に出すという選択肢:向く条件と注意点
目次
実家を手放すのは惜しいけれど、空き家のまま維持費を払い続けるのも負担——そんなときに候補になるのが「賃貸に出す」という選択肢です。この記事では、賃貸に向く条件と向かない条件を比較表で整理し、貸すための修繕や管理の手間、そして維持費と並べて考える見方をまとめます。本サイトでは家賃収入の予測や、賃貸をすすめる断定は行いません。売る・貸す・持ち続けるを、数字を土台に落ち着いて比べるための入り口として使ってください。
実家を「賃貸に出す」とはどういう選択か
相続した実家をどうするか考えるとき、多くの人は「売るか、持ち続けるか」の二択で悩みます。けれど、その中間に位置する選択肢として「賃貸に出す」という道もあります。家を手放さずに残しながら、借り手がついた期間は家賃を受け取れる可能性がある、という考え方です。
賃貸に出す最大の特徴は、所有権を手放さずにすむ点です。売却してしまえば実家は他人のものになりますが、賃貸なら名義は自分たちのまま残ります。「思い出のある家を手放したくない」「将来また自分たちで使うかもしれない」という気持ちがある場合、賃貸は家を残しながら維持費の負担を和らげられる可能性のある選択肢になります。
ただし、賃貸は「貸せばお金が入ってくる」という単純なものではありません。借り手がすぐに見つかるとは限らず、貸すために修繕が必要になることもあり、貸している間の管理や修繕対応という手間もかかります。本サイトでは、家賃がいくら入るといった収入の予測は行いません。あくまで、賃貸には向く実家と向かない実家があり、手間と費用がかかるという前提で、自分の実家に合うかどうかを考えることが大切です。
この記事では、まず賃貸に向く条件と向かない条件を整理し、そのうえで管理の手間や費用の見方、そして維持を続けた場合の費用と並べて考える方法をまとめていきます。
賃貸に向く条件・向かない条件を並べて見る
賃貸が現実的な選択肢になるかどうかは、実家の立地や状態によって大きく変わります。ここでは、賃貸に向きやすい条件と、ハードルが上がりやすい条件を並べてみます。下の表は、どちらが正しいと決めるものではなく、判断の材料として特徴を整理したものです。
この表を読むときのコツは、「立地」と「建物の状態」を横に並べて見ることです。借り手がつきやすい立地でも、貸すために大きな修繕が必要なら、その費用を回収できるかを慎重に考える必要があります。逆に、建物がきれいでも交通の便が悪ければ、なかなか借り手が見つからず、空室のまま維持費だけがかかることもあります。
もうひとつ、表には表れにくいけれど大切なのが「気持ちの整理」です。実家を賃貸に出すということは、他人がその家で暮らすということでもあります。思い出の詰まった家に別の人が住むことに、家族のなかで抵抗を感じる人がいるかもしれません。また、貸している間は自由に立ち入れなくなるため、「いつでも帰れる場所」という感覚とは違う付き合い方になります。こうした気持ちの面は数字では測れませんが、賃貸を続けていくうえで意外と大きな要素になります。条件が「向きやすい」側に寄っていても、家族の気持ちが追いつかないなら、無理に賃貸を選ぶ必要はありません。逆に、「使わない家を誰かに活用してもらえるなら嬉しい」と感じるなら、賃貸は前向きな選択肢になります。
つまり、賃貸に向くかどうかは一つの条件だけでは決まらず、立地・状態・管理体制・気持ちの整理といった複数の要素を合わせて見ることが大切です。いくつかの条件が「向きやすい」側に寄っているなら賃貸を検討する価値がありますし、多くが「ハードルが上がりやすい」側なら、売却や保有など他の選択肢と比べたほうがよい場合もあります。個別の物件で貸せるかどうかは、不動産会社に相談して確認することになります。
貸すための修繕と、貸している間の管理
賃貸を考えるうえで見落としがちなのが、「貸せる状態にするまでの費用」と「貸している間の手間」です。
まず、実家を賃貸に出すには、借り手が住める状態に整える必要があります。長く空き家だった実家は、水回りの傷みやクロスの汚れ、設備の老朽化などが進んでいることが多く、貸す前にクリーニングや修繕、場合によってはリフォームが必要になります。この初期費用がどのくらいかかるかは、建物の状態によって大きく変わります。傷みが少なければ軽い手入れで済みますが、傷みが進んでいると、貸すための費用が家賃で回収しきれるかどうかが問われることになります。
次に、貸している間の管理です。借り手が入居したあとも、設備の故障対応や、退去時のクリーニング、次の借り手の募集など、継続的な手間が発生します。これらを自分で対応するのは、遠方に住んでいると特に負担が大きくなります。そこで、管理を不動産会社に委託する方法もありますが、その場合は管理委託の費用がかかります。手間を取るか費用を取るかのバランスを、あらかじめ考えておくことが大切です。
加えて、賃貸ならではの注意点として「借り手との関係」があります。いったん貸してしまうと、自分たちの都合ですぐに家を取り戻せるとは限りません。将来また自分たちで使いたくなったとき、借り手が住んでいればすぐには明け渡してもらえない、というケースもあります。「いずれ戻って住むかもしれない」という気持ちがある場合は、どういう条件で貸すのかを含めて、あらかじめよく考えておく必要があります。契約の形や条件は個別の事情によって変わるため、具体的には不動産会社に相談して確認することになります。賃貸は「家を残しながら活用できる」魅力がある一方で、こうした将来の自由度とのバランスも意識しておきたいところです。
賃貸を「維持費と並べて」考える
賃貸に出すかどうかを判断するとき、判断の土台になるのが「維持を続けた場合にかかる費用」です。次の試算例は、遠方のため管理を委託しながら実家を保有するケースを想定したものです。賃貸に出すかどうかを考える前に、まず「何もせず持ち続けた場合にどのくらいの費用がかかるか」を把握しておくと、賃貸の手間や費用と比べやすくなります。
築36〜50年・遠方のため委託して保有する場合
- 固定資産税
- 9万円〜9万円
- 火災保険
- 2万円〜6万円
- 光熱基本料
- 3万円〜7万円
- 管理費
- 7万円〜13万円
- 修繕積立相当
- 9万円〜17万円
このカードは、維持を続けた場合に年間・10年でどのくらいの費用がかかるかのめやすを示しています。賃貸を考えるときは、この「持ち続けるだけでかかる費用」を出発点にします。賃貸に出せば、借り手がついた期間はこの負担が和らぐ可能性がありますが、そのためには貸すための修繕費や管理の手間がかかります。両方を並べて見ることで、「賃貸にする価値がありそうか」を数字で考えられるようになります。
さらに、賃貸を続けた場合の費用が長期でどう積み重なるかも意識しておきたいところです。次の図は、年間の維持費のめやすが10年でどれくらいの累計になるかを示したものです。
この図で示される10年累計のめやすは、「何もせず持ち続ける場合」にかかり続ける費用の目安です。賃貸に出すことで、この累計の負担を借り手の家賃で和らげられるかどうかが、賃貸を選ぶかどうかの一つの判断軸になります。ただし、空室の期間は家賃が入らず維持費だけがかかること、貸すための初期費用や管理費がかかることも忘れずに、あくまで「収入は見込みにすぎず、費用は避けられない」という前提で考えることが大切です。
賃貸以外の選択肢とあわせて費用や流れを比べたい場合は、賃貸の選択肢ページもあわせて確認してみてください。
賃貸か、売却か、保有か——迷ったときの整理
「売るのは惜しい、でも維持費は負担、賃貸は手間が心配」——実家をどうするかで迷うのは、とても自然なことです。それぞれの選択肢に良い面と難しい面があり、正解が一つに決まるものではありません。だからこそ、感覚だけで決めず、数字を土台に比べることが役立ちます。
売却側は査定で価値を確認でき、維持側は維持費のめやすを出せます。賃貸は、貸すための修繕費と管理の手間を見積もり、それを維持費と並べて考えます。この三つの数字を家族で共有すると、「賃貸にして負担を和らげたいが、修繕費と管理の手間に見合うか」「思い出のために残したいが、維持費はいつまで続けられるか」といった話が、具体的に進められるようになります。
どの選択肢が自分の実家に向いていそうかを、状況から整理したい場合は実家どうする診断が役立ちます。維持を続けた場合の費用を実際の条件で確認したい方は、維持費シミュレーターを使ってみてください。売却・賃貸・解体・保有・空き家管理といった選択肢それぞれの費用と流れを詳しく知りたいときは、選択肢の比較ページから確認できます。
まとめ:賃貸は「向く条件」と「手間・費用」の両方で判断する
実家を賃貸に出すのは、家を手放さずに残しながら維持費の負担を和らげられる可能性のある選択肢です。ただし、賃貸に向くかどうかは、立地・建物の状態・管理体制・気持ちの整理といった複数の条件で変わります。借り手がつきやすい立地で、大きな修繕なしに貸せる状態であれば向きやすく、交通の便が悪かったり多額の修繕が必要だったりするとハードルが上がります。
そして忘れてはならないのが、賃貸には「貸せる状態にするまでの費用」と「貸している間の手間」がかかるということです。空室の期間は収入がないまま維持費だけがかかるため、収入は見込みにすぎず、費用は避けられないという前提で考えることが大切です。本サイトでは家賃収入の予測や、賃貸をすすめる断定は行いません。
まずは維持を続けた場合の費用のめやすを把握し、賃貸に出した場合の修繕費や管理の手間と並べて考える。その数字を家族で共有するところから、あなたの実家にとっての納得のいく次の一歩を、あわてず落ち着いて探していきましょう。
よくある質問
Q実家を賃貸に出すと、どんなメリットがありますか?
実家を賃貸に出すと、家を手放さずに残しながら、借り手がついた期間は家賃を受け取れる可能性があります。売却のように所有権を失わないため、将来また自分たちで使う道も残せます。ただし借り手がいつ見つかるか、いくらで貸せるかは立地や状態によって変わり、本サイトでは家賃収入の予測は行いません。本記事では賃貸に向く条件と注意点を整理しています。
Qどんな実家が賃貸に向いていますか?
一般には、駅や生活利便施設に近く借り手がつきやすい立地で、建物の傷みが少なく、大きな修繕をかけずに貸せる状態の実家が賃貸に向きやすいとされます。逆に、交通の便が悪かったり、貸すために多額の修繕が必要だったりする場合は、賃貸のハードルが上がります。本記事では向く条件と向かない条件を比較表で整理しているので、実家の状況に照らして考えてみてください。
Q賃貸に出すと、どんな手間や費用がかかりますか?
賃貸に出すには、貸せる状態にするための修繕やクリーニング、借り手の募集、契約手続き、そして貸している間の管理や修繕対応といった手間と費用がかかります。管理を不動産会社に委託すれば手間は減りますが、その分の費用がかかります。本記事では、こうした手間や費用を維持費と並べて考える見方を紹介しています。
Q賃貸に出しても、必ず家賃収入が入りますか?
いいえ、賃貸に出しても借り手が見つからなければ家賃は入りませんし、家賃の額も立地や状態によって変わります。空室の期間は収入がないまま維持費だけがかかります。そのため本サイトでは家賃収入の予測や、賃貸をすすめる断定は行いません。まずは維持を続けた場合の費用のめやすを把握し、賃貸に出した場合の手間や費用と並べて考えることをおすすめします。
Q賃貸と売却は、どう比べればよいですか?
まずは維持を続けた場合の費用の10年累計のめやすを出し、その数字を土台にして考えるのが現実的です。賃貸なら貸すための修繕費や管理の手間、売却なら査定で確認できる価値を、それぞれ並べて比べます。本記事の内部リンクから、維持費シミュレーターや診断も確認できます。本サイトでは「どちらが得か」の断定は行いません。